きれいに治す乳がん治療
当院での全乳がん手術の約60%が乳房温存術となっています。
乳房を温存し整容(形を整える)性を保つことは、術後のQOL(生活の質)を改善させると考えられます。
しかしながら、手術後の乳房の形が手術前に想像していたものと異なることから、なかなかご自身の乳房を見ることができないと悩まれる方もいらっしゃいます。
乳がんの手術の基本はがん組織を完全に切除することですが、取り残しをなくそうとして切除範囲が大きくなればなるほど残った乳房が変形します。このため、当院では術前化学療法によってがんを小さくしてから手術を行う、側胸部の脂肪を有効活用する、シリコンインプラントによる乳房再建、広背筋皮弁による乳房同時再建術を行う、なるべく目立たない部分に皮膚の切開を加えるSuture-scaffold法による欠損部充填などを組み合わせることによって乳がんの根治性と整容性を両立させることに努めています。
乳がんの手術を受けるにあたって、「手術後の傷はどうなるんだろう」、「自分の胸はどのような形になるんだろう」といった疑問や不安を感じる患者さんが多くおられます。
手術を受ける患者さんが、術後のボディイメージを明確にされ、安心して手術を迎えられるために、術前に具体的な切除範囲と皮膚切開の方法をご呈示し、実際の術前後の写真などをみていただき、イメージを持っていただくよう心がけております。
整容性は乳房のどの部分をどの程度切除するか、患者さんの乳房濃度などによって大きく変わってきます。
特に乳房下半分のBD領域の手術の場合、整容性を維持するのが困難とされています。
当院では、BD領域や広範囲な手術の場合、広背筋や側胸部脂肪を使用するなどして整容性が保たれるよう工夫して手術を行っております。