妊娠をご希望の方へ
当院では生殖医療機関である「足立病院」と連携することで根治を目指すだけでなく、妊娠の可能性を温存することで生殖年齢患者さんのQOL改善にも積極的に取りくんでおります。
治療成績向上の結果、乳がんを克服する患者さんが増加しており、妊娠・出産を含めた患者さんの治療後のQOL(生活の質)について考える必要があります。
乳がんの治療において重要な抗がん剤は卵巣機能を減退させ不妊の原因となるほか、長期間におよぶホルモン療法は妊孕期間の逸失につながることもまれではありません。これらの治療が卵巣機能に与える影響は年齢や治療内容、治療期間、個々人の卵巣機能により個人差があります。また近年はライフスタイルの変化、晩婚化・晩産化により治療時期が生殖希望時期と重なることが問題となってきております。
卵巣内にある、将来卵子になる原始卵胞は生まれたときには約40万個存在するとされ、新たに作られることはなく、どんどん消費されていきます。従って一度失ってしまうと取り戻すことが非常に困難です。そのため治療計画をたてる過程で、治療による妊孕性喪失の可能性と妊孕性温存に関する情報提供が必須となってきております。
当院では限られた時間の中で乳がん治療に影響を与えないよう、できるだけ早い段階で妊孕性温存に関する情報提供を行い、生殖医療機関である足立病院へご紹介いたします。受診していただいたその日に、採血にて卵巣予備能の指標ともされているAMH(抗ミュラー管ホルモン)を測定し、妊孕性温存の方法について説明を聞いていただき、希望された場合はそのまま採卵スケジュールに入っていただきます。採卵方法は患者さん各々に合わせて最善の方法を提案いたします。
また乳がん治療後に不妊症のため体外受精や・胚移植を希望される場合、採卵を含めた生殖補助医療を受けることによる乳がん再発リスクに影響しないといった報告も出てきております。治療後の妊娠に関しても、どうぞ気軽にご相談ください。
足立病院生殖内分泌医療センター
足立病院では2009年から乳がん患者さんを対象に受精卵・卵子凍結を実施しております。
京都府がん患者生殖機能温存療法助成事業について
平成29年より以下1〜4を全て満たす方対象に、医療機関において生殖機能温存療法のために要した費用の一部を助成することとなりました。
- がんと診断された日から生殖機能温存療法実施日までの間において京都府内に住所を有する者
- ガイドライン(小児、思春期・若年がん患者の妊孕性温存に関する診療ガイドライン2017年版)に基づき、がん治療により生殖機能が低下する又は失う恐れがあると医師に診断された者
- 生殖機能温存療法実施日における年齢が40歳未満の者
- 京都府が別表に定める医療機関において生殖機能温存療法を受けた者
詳細はhttp://www.pref.kyoto.jp/gan/aya.htmlをご覧ください。