画像検査について

乳がん検診の内容と流れは?タイミングや服装などは?

まず問診票に症状や家族歴などをご記入いただきます。次にマンモグラフィになります。
マンモグラフィは乳房を左右片方ずつ2方向から撮影します。続いて超音波検査を行い、診察室にて画像結果をご説明いたします。 服装は上下のセパレートがおすすめです。制汗剤使用もお控えください。
月経前は女性ホルモンの影響で乳腺への血流が増し、乳腺組織も増殖傾向にありますので、全体に乳腺が腫れているように触診では感じられます。 検診時期は月経後がおすすめです。

乳腺濃度って何ですか?

乳房の内部は主に脂肪と乳腺組織からできており、乳腺組織が多く存在している状態を「乳腺濃度が高い」といいます。乳腺濃度の高い人のマンモグラフィは真っ白にみえます。しこりも白く写るため「乳腺濃度」の高い人ほど腫瘤を見つけにくくなるのです。乳腺濃度が高い乳房のことを英語で「デンスブレスト(dense breast)」といいます。

デンスブレストなのですが、乳がん検診はどうしたらいいですか?

デンスブレストはがんをみつけにくい上に、乳がんの発症リスクが高くなります。その場合、超音波検査が乳がんの発見に役立つことがあります。マンモグラフィでは乳腺も乳がんも白く描出されますので、その区別が難しいのに対して、超音波検査では、乳腺は白く、多くの乳がんは黒く描出されるため比較的発見しやすいという利点があります。デンスブレストの方は、超音波検査の併用をおすすめします。

マンモグラフィの被ばくは身体に影響はありますか?

マンモグラフィで乳房が浴びる吸収線量は1〜2mGy(実効線量では0.05〜0.15mSv)です。私たちは日頃から、宇宙線や大地、体内の放射能などから気付かぬうちに年間約2.40mSvの自然放射線を浴びています。東京からサンフランシスコまで飛行機で移動する際には0.038mSvもの自然放射線による被ばくを受けます。自然放射線による被ばくのことを考えると、マンモグラフィによる被ばく量では人体に何らかの影響を及ぼすことは決してないと言えます。

マンモグラフィと超音波検査のどちらがいいですか?

40歳未満では乳腺が発達しているためマンモグラフィ検診を受けても乳腺の異常がわかりにくく、エコー検診の方が異常を発見しやすい場合があります。また40歳代では、超音波検査をマンモグラフィと併用するとマンモグラフィ単独より多くの乳がんがみつけられることがわかっています。超音波検査は、マンモグラフィのように微細な石灰化を写すことには適していませんが、小さな病変を見つけることができ、痛みはなく、X線を使わないので妊娠中でも検査が可能です。

妊娠中や授乳中に検診は受けれますか?

妊娠中に不必要なX線撮影はしないという考えから、妊娠中あるいは妊娠の可能性がある場合には、被ばくの影響のない超音波検査がよいでしょう。
授乳中でもマンモグラフィ撮影は可能ですが、乳汁により乳房の状態の把握が難しくなることが多いため、まずは超音波検査をおすすめします。
妊娠中や授乳中は、乳腺が発達して胸が張るため、乳がんの発見が遅れやすいので、何か気になる症状があれば受診しましょう。

マンモグラフィは痛いですか?

マンモグラフィは圧迫板で乳房をはさんで撮影するため、痛みを感じることがあります。圧迫は診断に必要なよい写真を撮るために重要であり、また放射線の被ばく量を軽減します。圧迫される時間は数秒程ですが、痛みには個人差があるため、激しい痛みや耐えられない痛みを感じた場合は無理をしないで、放射線技師に伝えてください。

乳がん検診の受診は生理中でも大丈夫ですか?

月経前は女性ホルモンの影響で乳腺への血流が増し、乳腺組織も増殖傾向にあるので、全体に乳腺が腫れているように触診では感じられます。生理後の方が、乳房の張りが減ってマンモグラフィ、超音波検査などわかりやすいので生理後の方がおすすめですが、生理中でも検査は可能です。

乳がん検診は何歳から、どのくらいの頻度で受けるのがよいですか?

自治体の検診は厚生労働省の指針に従って、40歳以上の女性に2年に1回のマンモグラフィ検診を行っているところが多いです。
乳がんにかかる人は30代から増加し始めますので、30歳になったら、どのような検診を受けるべきか医師に相談して、ぜひ検診を受けてください。また20代でも血縁に乳がんの方がいるなどのリスクが高い方は検診を受けることをおすすめします。

CTとMRIの違いは何ですか?

MRIのメリットは、脳や筋肉など水分の多い箇所の画像診断に力を発揮することや、放射線被ばくの心配がないなどが挙げられる。デメリットは全身の撮影に時間がかかり、狭く音がうるさい空間に長時間いる必要があることです。CTスキャンのメリットは骨など水分が少ない箇所の画像診断に適しており、全身撮影に数秒しかかからない点です。デメリットは放射線を使うため被ばくするということ、また骨などの影響で見えない部分がでてしまう点です。 MRIは乳がんを診断するための最も感度(病変の発見率)の高い画像診断で、腫瘍と正常の組織の鑑別に優れています。また乳房内のがんの広がりを見極める力も大きく、手術の術式検討の際に参考にします。

治療について

遺伝子検査のながれは?

遺伝性乳がん卵巣がん症候群の確定診断をするためには、原因となるBRCA1/2遺伝子に変異があるかどうかを調べます。遺伝子検査には採血した血液を使用し、遺伝子を構成する塩基配列をひとつひとつ見てくため、初めて検査を受ける場合は結果がでるまでに3週間ほど要します。
当院ではまず遺伝外来にて専任の医師が遺伝カウンセリングを行います。カウンセリングでご本人やご家族の情報を詳しくお聞きし、病気や遺伝に関する情報をお伝えします。カウンセリング後に希望があれば、遺伝子検査(検査費別)を行うこともできます。気軽にご相談ください。

家系内に乳がん患者さんがいる場合、乳がんの発症リスクは高くなりますか?

家族に乳がんになった人がいる場合、乳がんになる確率が高いことはよく知られています。しかし、乳がんになった方の75~80%は、家族歴(血縁者に乳がんの人がいること)がありません。家族に乳がんがいないからといって安心はできないのです。誰もが乳がんになる可能性があります。



挙児希望の場合、治療の流れは?


当院では生殖医療機関である「足立病院」と連携することで、乳がんの根治を目指すだけでなく、乳がん患者さんの妊孕性温存に対しても積極的に取り組んでおります。治療による妊孕性喪失の可能性と、妊孕性温存に関する情報提供をできるだけ早い段階で行うことで、乳がん治療に影響を与えることなく妊孕性温存を行っております。

妊娠をご希望の方

入院期間はどれぐらい?

手術内容や個々人の状態によって異なりますが、温存手術であれば4〜5日、全摘手術であれば7日前後、再建手術であれば10日前後になります。

センチネルリンパ節生検でもリンパ浮腫になりますか?

センチネルリンパ節生検でもリンパ浮腫(術後の腕のむくみ),腕やわきのしびれや痛みなどが起きる可能性はありますが,腋窩リンパ節郭清によるものと比べて明らかに少ないことが報告されています。

乳房再建を希望した場合、どのようなながれになりますか?

乳房再建法には,(1)再建を行う時期と,(2)再建術の回数(何回に分けて再建を行うか)によって名称があります。(1)では,乳がんの手術と同時に再建手術を行う場合を「一次再建」,乳がんの手術後に改めて再建する場合を「二次再建」といいます。(2)については「一期再建」と「二期再建」があります。「一期再建」とは,エキスパンダーで皮膚を伸ばさずに自家組織または人工乳房により一回で乳房を再建する方法です。「二期再建」とは,まずエキスパンダーを挿入して皮膚を伸ばしてから,二回目に人工乳房に入れ替える再建法です。
当院では広背筋皮弁による一次・二次一期再建とエキスパンダーによる一次・二期再建を施行しています。患者さんの乳がんの進行の程度になどに適した再建方法や時期を一緒に考えて治療方針を検討しています。

CVポートって何ですか?

中心静脈カテーテルの一種で、正式には皮下埋め込み型ポートといわれるものです。その名前のとおり、皮膚の下に埋め込んで薬剤を投与するために使用します。CVポートは、100円硬貨程度の大きさの本体と薬剤を注入するチューブ(カテーテル)より構成されています。通常は、鎖骨の下の血管からカテーテルをいれ、右または左の胸の皮膚の下に埋め込みます。また状態によって腕や頚部に埋め込むこともあります。カテーテルの先端は、心臓近くの太い血管に留置されます。体の中に埋め込みますので、外からはほとんど目立ちません。ただし、CVポートを体に埋め込みますので、小手術を必要とします。



弾性スリーブを購入したいのですがどうしたらいいですか?


四肢のリンパ浮腫治療のために使用される弾性着衣や弾性包帯の費用は、療養費払いの対象になっています。前回購入後6ヶ月が経過すれば再度申請が可能です(年間2回計4セット)。
申請には医師の指示書が必要になります。
対象疾患:リンパ郭清を伴う悪性腫瘍の術後に発生する四肢の浮腫
* センチネルリンパ節生検後のリンパ浮腫は対象になりません
療養費支給額の上限:弾性スリーブ16,000円/枚 弾性グローブ15,000円/枚

リンパ浮腫の蜂窩織炎はどういうものですか?

リンパ浮腫を起こすと、リンパ液の流れが悪くなるため、虫に刺されたり、小さな傷があると、細菌が侵入し、腕や脚全体に炎症が広がることがあります。この細菌感染が原因でおこる皮膚の急性炎症を蜂窩織炎といいます。手術をした側の腕やむくみのある脚に赤い斑点や広範囲に皮膚の赤み、熱感がみられ、痛みを伴います。時には38℃以上の高熱が出ることがあります。このような炎症の兆候があらわれたら、できるだけ早く近くの医療機関を受診しましょう。治療は、抗生物質の内服または点滴を行います。

手術をした病院にはリンパ浮腫外来がないので困っています。

当院では他院で手術された患者さんのリンパ浮腫ケアも行っております。当院のリンパ浮腫外来の受診を希望される場合は、乳がん治療の主治医にその旨を伝え、診療情報提供書をもらってきてください。電話でリンパ浮腫外来の予約をお願いいたします。

リンパ浮腫外来

日常生活について

手術後の運動制限は?

手術が終わって退院するときには,ほとんど身の回りのことができるようになっていますが,無理をしないことが大切です。食事の用意や洗濯,着替えなど自分でできることは,人に頼らず自分でするように心がけ,徐々にからだを戻していくようにします。乳房を切除し腋窩リンパ節郭清をしても,通常術後1~2カ月くらいたてば,軽い運動ができるようになってきます。
手術で腋窩リンパ節を郭清すると,リンパ液の流れが悪くなり,傷がつっぱって,腕や肩を動かさないことで,術後の後遺症として肩関節の動きの制限(拘縮(こうしゅく))が起きることがあります。これを予防するために,腋窩リンパ節を郭清したときはリハビリテーションを行う必要があります。

ウィッグや補正下着は購入できますか?

術後の下着やパッドは、手術方法や治療の段階、からだの回復状態によって選ぶ必要があります。ウィッグもデザインや色、価格だけでなく、使用感(着け心地)が良いものや、サイズ調整が可能なものを選ぶことが大事です。当院では、多数下着サンプルを用意し、患者さんに適した下着をご提案しております。また月1回、美容師による「よろず相談」も行っており、ウィッグの選び方や脱毛後のケアなど色々なご相談にのっております。気軽にスタッフまでご相談ください。

髪の毛が抜けたらまた生えてきますか?髪質は変わりますか?

約半数の患者さんが脱毛後の髪質が変化し、投薬治療の終了から2年以上が経過しても薄毛が改善されない人がいるという報告があります。抗がん剤だけでなく、ホルモン療法によっても薄毛で悩まれている患者さんがいらっしゃいます。まずは担当医・スタッフにご相談ください。

抗がん剤治療中でも仕事はできますか?

仕事との両立で一番心配なのが抗がん剤治療ではないでしょうか?初回は入院して投与しますが、その後は外来で投与します。投与時間は3時間前後が一般的で、投与終了後、仕事に行かれる方もいらっしゃいます。抗がん剤の副作用には個人差が大きく、どの程度、どの時期に出現するかを事前に予測することは現時点ではできないので、予防・対策は万全に行いましょう。抗がん剤治療は数ヶ月続きますので、初回の投与で様子を見てから働き方を決めることもできます。

サプリメントを摂取してもよいですか?

乳がん発症リスクを低下させるために健康食品やサプリメントを摂取することは、副作用も十分に調べられておらず、また有効性も結論づけられていないためお勧めできません。

大豆、乳製品は控えないといけないですか?

大豆食品や乳製品の摂取で乳がん発症リスクが低くなる可能性があります。しかし、イソフラボンをサプリメントとして服用することで乳がん発症リスクが低くなることは証明されておらず、安全性も証明されていません。イソフラボンは通常の大豆食品からの摂取を心がけましょう。

ピル・ホルモン補充療法は乳がんと関係ありますか?

ホルモン補充療法の一部やピルの長期間服用は乳がん発症リスクをわずかながら高くする可能性があります。使用することによる利益とのバランスを考えて使用するかどうか決める必要があります。

乳がんを予防する方法はありますか?

残念ながら絶対に乳がんにならないようにする予防法はありません。しかし、乳がんのリスクになる生活習慣をかえていくことは可能です。自分でできることでいえば、過度の肥満を避ける、お酒の飲み過ぎに注意する、適度に運動をするなどがあります。
予防は無理でも、乳がんで死なないようにするためには、早く発見して治療すること、すなわち自己検診と乳がん検診受診を定期的に忘れずにすることが重要です。

時々乳房が痛みます、乳がんと関係ありますか?

痛みの多くは生理的変化によるものや乳腺症など良性の変化に伴うものです。
乳房は卵巣からの女性ホルモンに影響を受け、硬くしこりとして触れたり痛みを感じたりします。生理の周期で硬さや痛みが変化する場合は乳がんと関係ない場合が多いです。しかしわずかですが、痛みがきっかけで乳がんがみつかることもあります。
いつもと違うな、気になるなと思った時は、検診を待たずに乳腺外科を受診下さい。

麻酔について

タバコを吸っているのですが、禁煙したほうがいいですか?

手術が決まったらすぐに禁煙してください。タバコを吸っていると術後に咳や痰が増えるため術後に肺炎を起こしやすくなります。また傷の痛みも強くなります。

毎晩お酒をのみますが、麻酔が効きにくいのですか?

手術中に使う麻酔薬の量が少し多く必要になることはありますが、必ず麻酔は効きます。安心してください。

のみ続けている薬がありますがどうしたらいいですか?

そのまま継続していただく薬と、休薬していただく薬があります。術前回診時にのまれているお薬をお知らせください。

歯科治療をした時麻酔が効きにくかったのですが、全身麻酔も効きにくいですか?

歯科の処置に使う麻酔は局所麻酔ですが、歯の周囲に炎症があると効きにくいことがあります。全身麻酔とは使用する薬が違いますからご安心ください。

麻酔科診察までに準備することはありますか?

あなたの健康状態や過去にかかった病気は麻酔に大きな影響を与えます。以前にかかった病気、現在もその治療をしているのか、手術をしたことがあるのか、どんな麻酔で手術したのか、麻酔は順調であったかなどを書き出しておいてください。
非常にまれですが、麻酔に関係して高い熱が出て、全身の筋肉が固くなり、処置が遅れると死亡することもある病気(悪性高熱症といいます)が肉親の方にあれば必ずお知らせください。
全身麻酔では人工呼吸用の管を口から入れますので、グラグラした前歯を傷めることがあります。歯の具合によっては歯科の治療をお願いすることもあります。体に合わないクスリ、食べ物についてもお知らせください。

その他

ジェネリック医薬品は本当に先発品と同じ薬ですか?

先発医薬品と同じ効果が得られるのに安価であるというメリットがある後発医薬品ですが、いろいろな疑問や問題点が指摘されています。厚生労働省より、添加物が違っても有効成分に問題がなければ医薬品としての効能に影響がないこと、承認審査の過程が違ってもすでに先発医薬品の際に確認がとれているから省略しているだけのことであり効果に関しても問題はないとされています。品質管理についても、基準に適合した工場でのみ製造が認められるので後発医薬品も先発医薬品と同じとされています。

検査や入院、治療にかかる医療費はどれくらい?

乳がん治療において、社会保険や国民健康保険が適用されるものは以下の通りです。金額はあくまで目安であり、実際は医療機関によって異なります。カッコ内は、3割負担の金額です。

  • 外科手術(1週間ほどの入院):約60〜70万(約20万)
  • ホルモン療法(5年間):約10万〜100万(約3〜30万)
  • 抗がん剤(EC療法+タキサン、半年間):約70万(約25万)

費用が高額な場合、何か制度はありますか?

「高額療養費制度」を利用できます。医療機関の窓口で支払った額がその月で一定額(自己負担限度額)を超えた場合、その超えた金額が支給される制度です。事前に加入されている医療保険の窓口で「限度額適用認定証」の交付を受け、窓口に提示ください。詳しいことは、受付事務へご相談ください。


足立乳腺クリニック

京都市北区、北山にある乳腺外科、乳がん・乳腺専門のクリニックです。
乳がん検診にもどうぞ。

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