手術について
乳がんの手術には大きく分けて乳房をすべてとる方法(乳房切除術)と乳房の一部分をとる方法(乳房温存術)があります。
以前は乳房を大きく切除すればするほど再発が少なくなるという考えから胸筋合併乳房切除術などの拡大手術が行われた時代がありましたが、実際には再発が減少しないことが分かってきました。
このため、近年では乳房切除術に代わって乳房温存手術が広く行われるようになってきました。
乳がんの手術の基本はがん組織を完全に切除することですが、取り残しをなくそうとして切除範囲が大きくなればなるほど残った乳房が変形します。
このため、当院では様々な工夫をすることで、乳がんの根治性と整容性を両立させることに努めています。
乳がんの手術と言えばかつては術後に手が挙がらなくなるなどリンパ浮腫で手がむくむといったことが起こっていましたが、これは腋窩のリンパ節を広範囲に切除していたことが主な原因でした。
最近では術前の検査で腋窩リンパ節の転移が確認されない場合は、手術で腋窩のリンパ節を完全に切除する代わりにセンチネルリンパ節生検といって乳腺に一番近いリンパ節だけを試験的に切除して手術中にがんの転移が無いかどうかを診断する方法が主流になってきました。
一般的には色素法によってセンチネルリンパ節がどこにあるかを調べますが、当院では色素法とRIシンチグラフィを併用することによってより確実なセンチネルリンパ節生検を行っています。
乳がんの手術は全身麻酔で行ないますが、原則として手術の当日から歩行が可能で、術後も早期からリハビリの指導を行います。
通常、手術の前日に入院して頂き、術後3~4日で退院が可能です。(術式によって前後します)
また線維腺腫や乳輪下膿瘍など良性の疾患に対する手術は原則として局所麻酔下で行いますので、日帰り手術が可能です。